この記事のようなAIの最新動向を、経営判断に使える形に変えて、1本2分の動画で週3回お届けします。 何が起きているか。今、考えるべきことは何か。逆に、まだ手を出さなくていいことは何か。——忙しい経営者が、自分で調べなくても判断できる状態をつくる無料の動画レターです。
中小企業AI経営協会/村越慎司
協会で何度もお伝えしていることですが、AI導入は「ツールの導入」ではありません。今回は、この言葉の本当の意味をお話しします。鍵になるのは、「修正」という地味な作業です。
これまでのITは、道具でした。ボタンを押せば、決まった処理が実行され、正確な結果が出る。一方通行です。ところが生成AIは違います。問いかけ・指示をして、回答を見て、もう一度修正して指示する。そのくり返しで、精度が高まっていく。対話と試行錯誤のサイクルなのです。
ですから経営者は、この「問いかける→回答を見る→修正する→精度が高まる」というサイクルを、何度も何度も回す必要があります。1〜2年前なら「バカな回答だな」とやめてしまう経営者の方を、私は何人も見てきました。それでも最近は、「結局やらなくちゃいけないよね」と理解され、皆さん使い始めていると思います。
ここが、今回いちばんお伝えしたいことです。回答を見たとき、修正の指示をしているかどうか。問いかけて、回答を見て、「ダメな回答だな」とチャットを終わらせてしまう。これが実は良くないのです。何が悪かったのか、「ここを修正してください」「ここが違います」と伝えなければいけません。回答を見て諦めてしまう経営者の方は、多いのではないかと思います。
なぜ修正が重要なのか。何がダメだったのか分からないままチャットが終わると、AIは学ばないからです。逆に、何が悪かったかを修正していくと、AIはだんだん方向性を理解し始めます。「こういうのがダメなんだ」「こういうのは正しいんだ」と。どんな修正をしたか、何がOKだったか。それもすべてデータとしてAIの中に残っていきます。だから、修正も含めて「会話」だと思ってください。本当に、新入社員に教えている感覚です。
このサイクルを回すために必要なのが、5つの新しい能力です。AIに的確に質問する力。文章で具体的に指示を出す力。返ってきた答えを見て修正する力。間違いを前提に試行錯誤する力。そして、日常業務の中でAIに頼む習慣。この5つを回し続けられるかどうかが、AIを使えるかどうか、経営者の力量に関わってきます。
少し補足すると、最初の「質問する力」から、すでに簡単ではありません。「効率を上げたいです」だけでは、的確な答えは返ってきません。どういう業務形態の、どういう会社で、何に困っているのか。データを渡したうえで質問する必要があります。指示も同じです。何をしてほしいのか、どういう出力がよいのか、文章で具体的に伝える。ここまでは、できる方がたくさんいます。
難しいのは、その次です。「修正する力」は面倒で、やらない方が本当に多い。ですが、出てきた答えがダメだったとき、そのままチャットを閉じてはいけません。ダメなところを「ここが違います」と伝えて、試行錯誤していく。そこが、本当に重要なところです。
無理にITツールを入れることが、目的ではありません。経営者と社員が、少し不完全でも優秀なアシスタント(AIの脳)に対して、自然に「これ、どう思う?」「これをまとめておいて」と仕事を任せられる。その習慣と文化を育てることが、真のAI経営への第一歩です。
修正しなければ、AIは学びません。育てなければ、賢くなりません。新入社員に教えるように、根気よく。それが、AIを「道具」から「戦力」に変える、唯一の道だと私は考えています。
中小企業AI経営協会
村越 慎司
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